IC-PW1と格闘
いろいろと既往症はあるものの、実戦には支障なく使っていました。
先日、40m と 80m の TUNE が取れなくなりました。AZR-1000 の予約を受け付けていたので、IC-PW2 の発売が近いので先制攻撃なのかも? とちょっと期待してお店に問い合わせました。
発売の気配はありませんでした。半導体工場の火災の影響で既存機種の対応が優先のようです。
修理をお願いして延命することにしました。
3週くらいたって、込み合っていてあと1月くらいかかりそう、と連絡がありました。
ATU だけなので簡単な修理だろうとは思いましたが、もし面倒な修理だったり高額になりそうなら、手間をかけずにそのまま返してください、とお願いしました。
0日目
さらに3週くらい過ぎて、高額となるがどうするかと連絡がありました。
修理中に電源の FET が故障したそうです。原因は部品寿命と記されていました。
見積は中古で購入した価格の半額を超えていました。
製造から約20年経っているので、治しても余命は長くはなさそうです。
調査に人件費がかかっているので申し訳はなかったのですが、修理を断りそのまま返してもらいました。修理代は IC-PW2 購入に充てましょう。VL-2000 のように幻とならないことを祈っています。
さて、こうなるといつものことです。
粗大ゴミになる前に、ダメもとでいじり倒します。
1日目
まずは通電。無負荷だと Vd=45V。もしかしてと期待しましたが、入力を加えると 200-300W 位でプルプル震えてそれ以上でません。
故障した FET MTW20N50E (20A 500V RDS=240mΩ 250W) は中国で売っていました。不良やニセモノが怖いので国内で買える代替品を検索しました。
ヤフオクに 2SK2837 (20A 500V RDS=210mΩ 150W) がありました。形状もほぼ同じです。4本で送込 ¥1.25k。
出品者さんから届いたお手紙には「15年以上前に代理店から購入した偽物が出回る前のものです。」と書かれていました。これからも部品を買うときには用心いたしましょう。
2日目
電源の蓋を開くまでは作業量がありました。
・外ケース取り外し。
・前面パネルとコントローラ MAIN UNIT J4 取り外し。
・端子台から45Vを外し、前面の下板取り外し。
・背面パネル取り外し。
ANT-SW UNIT EP1 EP2
JACK-1 UNIT J1 J12
MAIN UNIT J9
SPLITTER UNIT J1 J2
・FILTER UNIT EP3 EP4 を外し、ATU を PA の上ひっくり返す。
・電源を取り出し。
大量のねじを外して
ACTFIL board にたどり着きました。
MTW20N50E の足周りはすすで真っ黒で、真ん中はソースが溶けてなくなり、左右のお隣はケースにヒビがはいっていました。
3本とも 2SK2837 に交換して電源はおしまい。
お次は ATU。MAIN UNIT J22 と L-NET board をつなぐGNDの被服が20㎝にわたりすっかり溶けてなくなり、銅線が途中で焼き切れていました。ATUの下蓋をあけて交換。原因は L-NET board GND の半田不良とのことなので、しっかり J1 に半田を流し込んでおきました。
バリコンの羽が放電で荒れていたので、盛り上がったところを削り、間隔が均等になるように調整。
組み戻すと前面下板のねじ穴が微妙に合いません。とりあえず力で解決しました。
100V に接続して電源ON。ポンと音。Vd≒20V。これは前からの故障です。100/200V の切り替えが動作していないのかな。サービスマニュアルを再読しましたが、どこがわるいのかはやっぱりわかりませんでした。
3日目
おうちの配電盤から 200V を引き出して電源ON。Vd=45V。
しかし ANT1-4 の切替が動作していません。
端子からワニ口で電力計につなぐと増幅はしているようです。 これまたサービスマニュアルを読みましたが原因不明。
4日目
ポンの音と穴ずれが気になるので再びばらして電源のFETをチェック。目視では異常なく組み戻し。
穴ずれは相変わらずで力で解決。
ANT も相変わらずつながりません。サービスマニュアルを見てコネクタのつなぎ間違えに気づきました。正 J9, 誤 J18。無事 1KW 出力。
INPUT1,2 の芯線が切れかかっていたので、半田付けをやり直し。
ATU 使用時の RL 接触不良も気になりますが、使わなければ問題ないのであとまわし。
5日目
接地線を施工している電源に繋ぐと漏電ブレーカが落ちました。
系統を変えると、ブォンという大きな音とともに電源内部で放電しています。
接地線を外すと電源が入りました。危ないなぁ。
6日目
再びばらして電源をチェック。
放電は FIL-AC UNIT とケース間のように見えたのですが、目視では放電痕も破損や変色はまったくありません。絶縁もテスタでは無限大です。200V の通る REG-RELLAY, ACTFIL も同様。他の基板も目視では異常なし。
100V/200V 切替の SB-REG D9 RD100EB も目視では異常なし。
成果なく組戻しました。電動ドライバと慣れで 3h 位とかなり早くなってきました。
7日目
再度200V通電したらすぐおち、電源が入らなくなっていました。
久々にばらして電源をチェックすると FET 3個とも穴かヒビが開いていました。
FETがアースと接触しているのではないかと調べました。接触個所は見つかりませんでしたが、放熱シートの小さな穴が気になります。
8日目
MTW20N50E (20A 500V RDS=240mΩ 250W) の代わりが見つからず、試験用に容量不足を承知の上で 2SK1018 (18A 500V RDS=300mΩ 125W)をヤフオクで入手して交換しました。念のため熱伝導性シリコンシートをヒートシンクの間と銅のカバーとの間に張りました。
ついでに SB-REG D9 RD100EB もヤフオクで入手し交換しました。
100V通電すると Vd=24V。100V/200V 切替の故障個所はツェナーではなかったようです。
9日目
接地線ありの200V通電。一瞬ファンが回り停止したのが気になりますが、放電はしていません。しめしめ。
電源スイッチを押したら、パンッと音がしてビニールの焼けるにおい。
即、コンセントを抜きました。
あちこち次々と壊しているような気がしてきました。
10日目
実戦復帰はまだ遠そうなので、当面 VL1000 を使うことにししました。バンド制御は LIF-59 で快適です。
あたらしいリニアアンプを追加する変更届は初めてでしたが、2日後にすんなりと審査終了が表示されました。
< 参考 >
・IC-PW1 service manual
・ICOM IC-PW1 修理 その8
・誘導雷被害でメーカーに見捨てられた、可哀想なローカルのPW-1を10台以上修理しました、全国で対応に困っている方、救済の為に本格的に修理する事を心に決めました。
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